急性脳内出血に対する遺伝子組換え活性型第Ⅶ因子の 使用に関する有望な臨床試験結果 New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載
2005年3月9日
PRESS-05-08
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社(略称:NNPL、社長:クラウス アイラセン/ Claus Eilersen、本社:東京都千代田区)の親会社であるノボ ノルディスク社(略称:NNA/S、社長:ラース レビアン ソレンセン/ Lars Rebien Sørensen、本社:デンマーク)は、脳内出血(ICH)に対する遺伝子組換え活性型第Ⅶ因子(ノボセブン®/rFVIIa注1)に関する臨床試験を最近終了しました。同試験から得られた肯定的な結果が2月24日、New England Journal of Medicine(NEJM)において報告されました。
脳内出血は脳卒中の中でも致死的で、最も障害が残る疾患です注2。現在は、脳内出血の治療法がまだ確立されておらず、世界中の神経科医から重大な医学的緊急事態と認識されています注3。脳内への出血量は30日後の神経学的および臨床的な結果の重要な予測因子であり注4、出血は発症後早い時間帯に起きていることが立証されています注5。したがって、臨床的な結果を改善するためには早期治療は血腫の増大を低減することを目的としたものでなければなりません。
NEJMに掲載された論文「急性脳内出血に対する遺伝子組換え活性型第Ⅶ因子(Recombinant Activated Factor VII for Acute Intracerebral Hemorrhage)」注6では、脳内出血について実施されたこれまでで最大規模の薬物療法臨床試験の結果が報告されています。本試験は止血剤rFVIIaの投与により血腫増大を低減できるかどうか、ならびに出血の抑制が患者さんの臨床的な結果に大きな影響を及ぼすかどうかを評価することを目的としました。
NEJMに掲載された論文で報告されている本試験の結果は有望なものであり、rFVIIaの早期投与は血腫増大の減少および臨床的な結果の改善と関連したことが証明されています。
予想を上回る結果
ニューヨーク、コロンビア大学神経内科・神経外科 (Departments of Neurology and Neurosurgery, Columbia University College of Physicians and Surgeons, New York) 准教授であり運営委員会(Steering Committee)の委員長であるStephan Mayer博士は「出血を減少させることにより、患者さんの生活を少々改善できるかもしれないと考えていました。ところが 結果はそれよりも良いものでした。出血を減少させたところ、結果が不良な例が大幅に減少したのです」と語っています。
本試験の結果は脳内出血に対する治療の選択肢を探している医療専門家には有望なものと思われます。
試験のデータ:
本試験では脳内出血の発生から3時間以内にコンピューター断層撮影(CTスキャン)で脳内出血が確認された399例の患者さんを対象としました。患者はプラセボ群(N=96)、rFVIIa投与量40μg群(N=108)、同80μg群(N=92)、同160μg/kg群(N=103)に無作為に割り付けられベースラインスキャン(脳内出血を確認した最初のCTスキャン)から1時間以内に治験薬が投与されました。主要評価項目は投与24時間後のICH容積の変化率としました。また、投与90日後に神経学的および臨床的な結果を評価しました。
以下が主な知見です。
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主要エンドポイント:血腫増大の統計学的に有意な減少
脳内出血容積の増加はプラセボ投与患者群において29%であったのに比較し、40μg/kg投与群、80μg/kg投与群、160μg/kg投与群ではそれぞれ16%、14%、11%(それぞれ45%、52%、62%の相対的減少に相当)でした。
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二次エンドポイント:神経学的および臨床的な結果における統計学的に有意な改善
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患者が投与90日後に死亡していたか、重度の障害が残った患者(改変Rankin尺度(mRS)スコア4~6注7)はプラセボ投与群では69%でしたが、rFVIIa投与群では55%、49%、54%でした。rFVIIaの投与により患者さんがmRSにおいて1レベル改善する確率が2倍以上になりました。これらの結果は他の脳卒中評価スケール(背景情報を参照)によって示された結果と一致していました。なお、これらの評価スケールには有害事象の転帰が含まれます。 |
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これによってmRSにおける3ヶ月後の死亡あるいは重度障害のリスクが16%絶対的に低下しました。 |
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プラセボ群に比較しrFVIIa投与群全体の死亡率は38%低くなりました(p=0.02)。 |
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安全性に関するエンドポイント:
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致死的あるいは障害を残す重篤な血栓塞栓有害事象の全体的な頻度についてはrFVIIa群(2.0%)とプラセボ群(2.1%)で差がありませんでした。しかし、重篤な動脈性血栓塞栓有害事象についてはプラセボ群(0%)よりもrFVIIa投与群(5%)において統計学的に有意に高い頻度で発生し、これらは心筋虚血事象や脳梗塞の形で出現しました。大多数の患者さんはこれらの合併症から回復されました。
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結論:
概して、本試験の結果は、脳内出血のある患者さんにrFVIIaを早期に投与することにより、致死的あるいは障害を残す血栓塞栓性合併症のリスクを大幅に上昇させることなく、血腫増大を制限し、死亡率を低下させ、神経学的および臨床的な結果を改善することが可能であることを示しています。
背景情報
臨床試験結果の測定について
神経学的および臨床的な結果は以下の尺度を使用して測定しました。
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改変Rankin尺度(3ヶ月の結果について)
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Barthel指数(日常生活における活動の限度について、3ヵ月後)
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National Institutes of Healthの脳卒中尺度(神経学的機能不全と入院中の神経学的障害について)
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拡大Glasgow転帰尺度(3ヶ月の結果について)
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Glasgow昏睡尺度(入院中における神経学的障害について、3ヵ月後)
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European Quality of Life視覚的アナログ尺度(QOLについて、3ヵ月後)
遺伝子組換え活性型第Ⅶ因子(rFVIIa)について:
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rFVIIaは血管損傷部位において凝固を促進する止血薬です。rFVIIaはノボ ノルディスク社が開発・製造しており、日本ではノボ ノルディスク ファーマ株式会社が「ノボセブン®」として販売しています。
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rFVIIaは、1996年よりインヒビターを保有する血友病の治療薬として有効に使用されてきました。現在日本では「血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病及び後天性血友病患者の出血抑制」が適応症となっています。EUでは「第VII因子欠乏症患者、またはGPIIb-IIIaないしHLAに対する抗体を有するグランツマン血小板無力症の患者で、血小板製剤輸血が過去に無効であったか、現在無効である患者における外科手術時もしくは侵襲的処置時の出血の治療や予防にも適応とされています。
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また外傷や広範な外科手術を受ける患者における出血を抑制するための治療としてrFVIIaの研究が行われています。これらの設定で行われた治験でも、有望なデータが報告されています。 |
脳内出血について:
脳内出血は脳卒中の中でも致死的で最も障害が残る疾患です。脳内出血は動的な性質を持ち、24時間にわたり出血し続けることがありますが、ほとんどの出血増加は症状発症から早い時間(0~4時間)に起こります。脳内出血は頭部外傷などの外部因子に起因するものではなく、自然に生じる脳内の出血のことです。脳内出血の過程で血液が脳内に溜まり、血腫という血溜まりが形成されます。血腫が大きいと脳の恒久的損傷が生じる可能性が高くなり、このような損傷により心身に重度の恒久的な障害が生じたり、多くの場合死亡に至ります。
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日本、EU15ヶ国、米国では年間約25万例の脳内出血が発生しています。世界的に見た脳内出血の発生率は10万人あたり30~50例であり、年齢とともに上昇します。これらの患者さんの35%~52%は1ヶ月以内に死亡し、生存患者で機能的に自立するようになると見込まれるのはわずか20%です。
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脳内出血の典型的な症状は神経学的障害(言語機能障害、一肢以上の麻痺、目のかすみなど)の突発であり、頭痛、悪心、嘔吐、意識低下を伴います注8。CTスキャンを行わずに脳内出血と虚血性脳卒中を見分けることは困難です。しかし、脳内出血は虚血性脳卒中に比べ、症状発症が早く顕著であるのが典型的です。
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脳内出血は高齢者で発生することが最も多く、白人よりも黒人およびアジア人で好発します。結果として、世界中で人口が高齢化していることと移住の傾向が継続していることから、世界全体の脳内出血発生率が上昇し、先進数カ国では今後50年間で最高50%まで上昇することも予想されます注9。 |
| 注1 |
日本国内でノボセブン®として、海外ではNovoSeven® またはNiaStase®として販売されている。 |
| 注2 |
Mayer, Stroke 2003 |
| 注3 |
AHA Stroke Council – Guidelines for the management of Intracerebral Hemorrhage, Stroke 1999; 30:905–915 |
| 注4 |
Broderick JP, Brott TG, Duldner JE, Tomsick T, Huster G. Volume of intracerebral hemorrhage. A powerful and easy-to-use predictor of 30-day mortality. Stroke 1993; 24:987–993. |
| 注5 |
Brott, et al, 1997. Early hemorrhage growth in patients with ICH, Stroke 1997; 28:1–5. |
| 注6 |
New England Journal of Medicine, 24 Feb 2005 |
| 注7 |
mRS 0:症状なし、mRS 1:症状はあるが問題となる障害なし、mRS 2: 軽度の障害、mRS 3: 中等度の障害、mRS 4: 比較的高度の障害、mRS 5: 高度の障害、mRS 6: 死亡 |
| 注8 |
AHA Stroke Council – Guidelines for the management of Intracerebral Hemorrhage, Stroke 1999; 30:905–915 |
| 注9 |
Qureshi AI, et al. Spontaneous Intracerebral Hemorrhage, N Engl J Med 2001; 344(19):1450–1460 |
この件についてのお問い合わせは、
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 広報部まで
ノボ ノルディスク社につきましては、 www.novonordisk.com(英文)にてご覧いただけます。
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